田中~年齢イコール彼女いない歴の魔法使い~1

【ラノベレビュー】田中~年齢イコール彼女いない歴の魔法使い

先日好きなことをアウトプットしようと思って早速ラノベのレビューも書き始めているんだけど、この本を1発目に紹介するのは流石に憚られる。

でも読んでしまったからには仕方がない。かく。

予め伝えておくと、この本「田中~年齢イコール彼女いない歴の魔法使い」はどこをどう読んでも完全におっさんのチラ裏ご都合異世界転生モノのラノベである。

どう頑張ってもどこをどう転んでも完全におっさんのチラ裏ご都合異世界転生モノのラノベである。

でも味わってもらいたい。

ドスケベおっさんの思考や展開の中にある旨味。

ウシジマくんが見るに耐えない層がいるように、このラノベも決して見るに耐えない層がいるだろう。むしろほとんどの人が見るに耐えないだろう。9割方見るに耐えないと思う。

でも確かにある旨味。

9割方におすすめできないからこんなって言葉を使ったけど、残り1割は熱狂的なファンになるであろう本。

そんなラノベである。

 概要

ブサメンのオタク齧って童貞を拗らせたおっさんが転生。

でも神様に整形は拒否られ、ブサメンのまま無駄に回復力だけ持って異世界で生きるトゥルーストーリー。

個性的な仲間とともに様々な困難に立ち向かっていく。

……とまあ設定はありきたり。

なのだが、ここからがこのラノベの人を人を選ぶポイント。

さて、オタクを多少なりとも齧って他のラノベとか、ちょっとえっちなコミケとかの本を買いあさってる童貞なおっさんの日常生活を一度想像してみてほしい。

ブサメンでかつそんな日常生活を送っている童貞のおっさんが転生した後に脳内で考えることはただ一つ。

性交渉である。なんでだよ。

そう、この本の主たる特徴は、現代日本社会で生き延びてきたサラリーマン特有の世渡り術がくまなく展開される点と、素の文章にありとあらゆるおっさんのドキツい妄想がガンガン入っていることにある。

会話文3割、物語の展開の文章4割、性交渉に関する妄想3割で構成されている、会話文と同じ量だけドン引きするぐらい性交渉の妄想の量が多い作品である。

おっさんのチラ裏って話したけどそういうことである。

無駄に性交渉についての妄想が入ってるものだから本が多分分厚い。Kindleで読んでたけど絶対これ分厚い。

ただそのエロい妄想が現実になることは……、それはこの本を読んでからのお楽しみに、ということで。

いやほんと、女の人が読む分には多分マジでキツい。生理的に受け付けない文章多し。

というか絶対嫌い。絶対ドンもドン引き。

でもそこが無駄に惹きつける。

気づけば10巻全部読んでた。私の休日は田中に消えた。

この本のここがおすすめ!

そんな人を選ぶ、というか男性の熱狂的なファンしか読まないようなこの作品だが、この本を紹介したい点は3点ある。

  • 展開が上手い
  • キャラ設定が上手い
  • 世渡り術トーク・処世術で学べるところが多々ある

というのも、筆者、8巻だか9巻だかにとある出来事によって、エロ方面一切なしの普通の小説っぽい文章書いてるところがあるんだよね。

いや、そこ読むとわかるけどこの人普通に上手に文章かけるのよ。

普通の文章書けるの。普通に小説書くの上手いの。

どこをどう捻ったらこんな背脂マシマシ豚骨醤油ラーメンみたいな文章が出てくるんだろう。

だから私みたいな人が読むんだろうけど。

展開が上手い

筆者の伏線回収能力は異常。

バタフライエフェクトじゃないんだけど些細な出来事として紹介されていた内容がいつの間にか物語の中核を担うような出来事にまで展開されていく様は気持ちがいい。

そこがそうなるのかよ?!

みたいな展開多し。

ラノベだしご都合主義だから結局はそうなるんだろうというところまで読めるんだけどなんというんだろうか、キャラが生きてる。

一個一個説明していないのに、前後の出来事などから本当に細かいところまでキャラクターの思惑を感じ取れるところが良いね。

序盤から出てくるキャラクター、モブも含めて要チェック。

もしかしたら回収し忘れもあるだろうけど私は気づいてない。

キャラクター設定が上手い

ラノベって、だいたい5人とかヒロイン出てくるとあれこれ思考の部分とか行動とかが混ざり始めちゃうんだよね。

あれ、なんか妙に聞き分けが良いなこいつ。ツンの強めのツンデレなのにいつの間にそんなに調教されてしまったんや。みたいな。

この本に出てくるキャラクターたちは個性的で芯がある。

あと個性的すぎる。

濃すぎる。

この人だったらこう考えてこう行動するだろう、という様をよく展開の中に入れて描けている。

キャラ濃すぎるのに。

特に貴族とかの影響でキャラクターが大きく行動した際には、読み返し必須。

あ、こいつここでこんなことを考えてるからこうなるんや、みたいな。

わかりやすい例で言えば、エディタ先生の言動について、9巻まで読んだ後にもう一回1巻から読むと2度面白い。

エディタ先生可愛い。

9巻あたりを読んでからもう一回読むとエステルちゃんも面白い。2度面白い。

細かい巻数忘れててごめんね

世渡り術トーク・処世術が上手い

これ読んでて思ったんだけど現実世界の筆者の世渡り術レベル絶対高い。

なんという処世術の高さなんだろうか。

どういう場面に出くわした時に、誰をどうヨイショすれば事無きを得るかみたいなのがためになる。

いつためになるんだろうか。

王様や領主と話す機会は私はくるのだろうか。

謙り方というか敬語がうまい。

どキツいチラ裏ラノベだけどこの処世術だけは本当に勉強になると思う。

出番少ないけど。

まとめ

まぁ〜御都合主義みたいな展開も多いけど全然それを含めて愛せる。

色々書いてきたけどどキツさは異常。それでも良い人は読んでみてほしい。

コミックも出てるらしく、そっちも見てみたけど多少なりともマイルドで万人受けになっている。

でも原作のこのどキツさは味わってみてもいいかも。

ウシジマくんが好きな人が他人に紹介している時にどんなことを思っているのかちょっとわかった気がする。

10巻まで出てるけどいいところで終わってるから続きに期待。